RPJ選挙情報・分析
参院選2010

RPJ編集部 自社調査から見る選挙戦終盤の読み方

2010/7/9 RPJ編集部

 参院選投票日まで残りわずか。新聞各紙の終盤情勢調査が民主党の苦戦を伝えるなか、RPJ運営会社であり、日本唯一のポリティカルマーケティング企業ピーエムラボの自社独自の参院選情勢調査の結果から選挙戦終盤の状況を整理したい。

「消費税」が民主党の逆風に

 選挙直前に菅直人総理が言い出した「消費税増税」は、その後の総理の迷走とメディアの執拗なあおりによって民主党の選挙情勢に大きな影響を与えている。
 7月3~4日にピーエムラボが行った参院選情勢調査(インターネット調査、サンプル数500人)によると、当社独自の有権者セグメントのひとつである「積極的無党派層」の女性のうち、6割弱が消費税増税について否定的な考え方を示した。この層が民主党候補への投票をためらっていることが、メディア各社の情勢分析での民主党苦戦の流れを作っている。



積極的無党派層女性(折線赤)の大半が消費税増税に否定的

みんなの党が「反消費税」層の受け皿に

 一方で、菅総理の「消費税」発言による民主党の苦戦によって、もっとも恩恵を受けるのが「みんなの党」である。鳩山元総理・小沢元幹事長のダブル辞任、菅総理の誕生により第三極としての勢いに陰りの見えた同党ではあったが、前出の調査によれば、菅総理の「消費税増税」発言の影響を受けて「投票したい気持ちが強くなった政党」として一番高い数字を示した点は興味深い。



消費税発言は、民主党と自民党を沈ませ、「みんなの党」を浮揚させた

 一方、消費税議論で民主党に「抱きつかれた」自民党が、「投票したい気持ちが弱くなった政党」として民主党に次ぐ数字を示していることと比較すると、菅総理の「消費税増税」発言は、民主党と自民党に対する投票意向を沈ませ、「みんなの党」を浮揚させたと言える。
 結果、「みんなの党」は比例区で1~2議席、接戦が伝えられる地方区でも1~3議席程度、獲得議席を増やす効果があると推測される。

盛り上がらない選挙戦

 参院選の獲得議席に影響を及ぼしそうなもう一つの要因は、投票率である。昨夏の「政権交代」選挙から1年弱が過ぎ、今回の参院選自体のテーマが有権者および無党派層に伝わっていないように思える。事実、前回の衆院選と比べると、各種選挙サイトへのアクセス数も伸びておらず、選挙戦は残念ながら盛り上がっていない。
 そのことは期日前投票者数からも読み取ることができる。2004年の参院選から導入された期日前投票制度の利用者は、04年参院選の約717万人から、05年衆院選の約896万人、07年参院選の約1,094万人、09年衆院選では約1,400万人と右肩上がりで増えてきた。しかし、総務省が5日に発表した参院選の期日前投票の中間状況(選挙区)によると、今回は07年参院選の同時期の投票者数と比べて1.02倍とほぼ横ばいで推移しており、09年衆院選の数を下回ることは確実だろう。このままの傾向で推移したとすると、50%台前半の投票率にとどまることになり、ここ5回の参議院選挙で最低を記録することになりそうだ。


投票率低下は民主党に有利

 投票率が低い場合には、労組の組織票に加え、小沢前幹事長の下で業界団体にも食い込んだ民主党の候補に有利に働く可能性が高く、接戦の選挙区での勝敗を左右することが予想される。
 以上から、RPJ編集部の最終議席予測は投票率が高い場合と低い場合の2パターンを想定し、投票率が前回並みの58%以上の場合には「みんなの党」の躍進と民主・自民の痛み分け、55%を割り込めば民主党が現状の予測議席に上積みし、50議席後半を確保するとみる。

RPJ編集部の最終予想表(7月9日時点)


以上